Lesson7 “Today’s Trash is Tomorrow’s Treasure”

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アップサイクルという概念が世界的に注目されている。

アップサイクルとは、廃棄物を使ってより価値のある製品を生み出すことだ。

「創造的再利用」とも呼ばれる。

1997年、ガンビアの女性、イサトウ・セーサイがアップサイクルに関連するプロジェクトを開始した。

彼女のプロジェクトでは、友人たちと一緒に廃棄されたビニール袋を使ってカラフルな財布を作った。

それ以来、このプロジェクトはセーサイ自身だけでなく、ガンビアの多くの女性を力づけることに貢献している。

2

セーサイは1972年、ガンビアの小さな村に生まれた。

当時、そこで教育を受ける子どもはほとんどいなかった。

セーサイも例外ではなかった。

しかし、好奇心旺盛で活発な彼女は、常に 「常識」とされていることに疑問を抱いていた。

そして社会問題を解決したいと願った。

3

セーサイが25歳のとき、アメリカの平和部隊のボランティアに出会った。

彼らから廃棄物のリサイクル方法を学んだ。

当時、ガンビアでは廃棄物の処理方法が確立されておらず、大量のビニール袋が路上に捨てられていた。

それらのビニール袋は、マラリアの発生、動物の死、不作といった深刻な問題を引き起こしていた。

こうした事実を知ったシーサイは、捨てられるビニール袋の数を減らそうと考えた。

4

しばらくして、セーサイは廃棄されたビニール袋で財布を作り、それを販売することを思いついた。

セーサイと彼女の友人たちは、路上でビニール袋を拾うことからこのプロジェクトを始めた。

ビニール袋を洗って乾燥させた後、糸状に切って紡いだ。

その糸を使って、彼らは手軽な財布を作ることに成功した。

5

しかし、彼女たちの夫たちはこのプロジェクトに満足しなかった。

男性は、女性は家事に専念すべきだと言った。

反対はあったものの、シーサイたちは決してあきらめなかった。

夜な夜な集まり、キャンドルの灯りの中でこっそり財布を作り続けた。

十分な数の財布が出来上がると、街のマーケットに持ち込んだ。

財布は人気があり、すぐに売り切れた。

セーサイたちは大喜びで、このプロジェクトを続けることにした。

夫たちも、妻たちの収入が家計を支えていることに気づき、次第に受け入れてくれた。

6

そのうちに、セーサイのプロジェクトは近隣の村の女性たちも巻き込むようになった。

プロジェクトを通じて、女性たちはお金を稼ぎ、自分の銀行口座を開くことができるようになり、経済的自立につながった。

現在、40のコミュニティで2,000人以上の女性がこのプロジェクトに参加している。

このように、セーサイの知恵は女性の社会的地位に大きな変化をもたらした。

さらに、彼女のプロジェクトに影響され、ガンビア政府は2015年にビニール袋の使用を禁止した。

この知恵は、環境に対する人々の態度さえも変えたのだ。

upcycling (名)アップサイクリング
Gambia (名)ガンビア
Isatou Cessay (名) イサトウ・セーサイ
discard (動)〈…を〉(不要なものと)捨てる,処分する
exception (名)例外(にすること), 除外
regard (動)〈…を〉〈…だと〉みなす,考える
corps (名)団体,団
disposal (名)(財産・問題などの)処分,処置
malaria (名) マラリア
outbreak (名)(突然の)発生,突発
harvest (動)〈穀物を〉刈り入れる,取り入れる; 収納する
spun (動)〈綿・羊毛などを〉紡ぐ; 〈糸を〉紡ぐ
yarn (名) 紡績糸,織り糸,編み糸,より糸
chore (名)(家庭や農場の)雑仕事 《洗濯・掃除・片づけなど》
despite (前)…にもかかわらず
opposition (名) 抵抗,反対; 妨害; 敵対,対抗,対立
secretly (副)隠れて,こっそりと,ないしょで
candlelight (名)ろうそくの明かり
delight (動)〈人を〉大いに喜ばせる,うれしがらせる
account (名)(銀行などとの)取引; (預金)口座; 預金(高)
independence (名)独立,自立
wisdom (名)賢いこと,賢明,知恵; 分別
status (名) (社会的)地位,身分