Lesson7 “Where Did Dogs Come from?”

1

介助犬、警察犬、愛玩犬……犬は私たちの生活のさまざまな場面で人間のよき仲間となる。

この伴侶関係は何万年も前に始まった。

遺伝子研究によれば、犬の祖先はオオカミだった。

オオカミの中には、人間のハンターについて回れば、人間が獲物を殺し、その残骸を自分たちが手に入れられることに気づいたものもいた。

ハンターたちもまた、オオカミを手なずけて訓練すれば、狩りを手伝わせることができることに気づいた。

これらのオオカミは次第に 「犬 」になった。

2

一般に、オオカミが犬になるにつれて、その身体と性質が変化したと考えられている。

人間から餌をもらっていたので狩りをする必要がなくなり、口が丸くなった。

また、従順さ、人間にとって魅力的な毛色や耳の形など、人間との絆を深めるための特徴も発達した。

腸の形も、人間の食べ物をより効率的に消化するために変化した。

他のオオカミとのコミュニケーションに使われていたオオカミの遠吠えも進化し、人間とのコミュニケーションに使われる犬の吠え声になった。

companion (名)(ある行動を共にし親密な関係にある)仲間; 友
companionship (名)仲間づきあい,交わり
prey (動)〔…を〕捕食する
leftover (形)残りの,余りの,食べ残しの
tame (形)〈動物が〉飼いならされた,人になれた
rounded (形)〈体など〉丸い形の,丸みを帯びた
obedience (名)服従,従順; 忠順
fur (名) (ウサギ・テン・ビーバーなどの柔らかい毛の)毛皮
appealing (形)人(の心)を引きつけるような,魅力的な
intestine (名) 腸
digest (動)〈食物を〉消化する
efficiently (副) 能率的に,効率よく
howl (動)〈犬・オオカミなどが〉遠ぼえする
bark (動)〈犬・キツネなどが〉〔…に〕ほえる

3

しかし、どうすれば獰猛なオオカミが従順な犬に変身できるのだろうか?

その謎を解明するため、ロシアのドミトリー・ベリャーエフ教授は、犬が誕生するまでの進化の過程を再現し始めた。

彼は、オオカミと同じイヌ科で、オオカミと同じように人間に対して用心深く非友好的な態度を示す野生のキツネを選んだ。

1958年から60年間、彼の研究グループはこれらのキツネを繁殖させ、数十世代ごとに比較的従順と思われるキツネを選んだ。

この実験の間、これらのキツネには、行動だけでなく外見においても劇的な変化が観察された。

4

実験の初期段階では、キツネに大きな変化は見られなかった。

しかし、第6世代になると、「エリート・キツネ」、つまり、より愛情深く振る舞い、尻尾を振ったり、鳴いたり、ペットの犬のように人をなめたりする行動をとる従順なキツネが出現した。

さらに、15代目の「エリート・キツネ」が人間と一緒に暮らしていたとき、研究者たちは人間とキツネの間に深い絆と愛情の兆候があることを観察した。

ある日、キツネは番犬のように、侵入者と思われる警備員に吠えかかり、命令すると吠えるのを止め、キツネが犬のような忠誠心を身につけたことを示唆している。

ferocious (形)獰猛(どうもう)な,凶暴な; 残忍な
transform (動)〈(…の)外見・様子を〉〔…に〕一変させる,変形[変容,変態]させる
obedient (形)従順な,忠順な; すなおな
shed (動)〈光熱・香気などを〉〔…に〕発する,放つ
re-create (動)〈…を〉再創造する,再現する
evolutionary (形)進化(論)的な
canine (形)イヌ科の; 犬のような
exhibit (動)〈感情・性質・徴候などを〉示す,表わす
cautious (形)用心深い,慎重な,周到な
unfriendly (形)友情のない,不親切な,よそよそしい; 愛想の悪い,薄情な; 敵意のある
breed (動)〈…を〉繁殖させる,飼育する
comparatively (副)比較的に,わりあいに,かなり
dozen (形) ダースの,12(個,人)の
dramatic (形)劇的な; めざましい
initial (形)初めの,最初の,皮切りの
elite (名) 選ばれた者,精鋭,エリート(層)
affectionately (副)愛情をこめて,優しく
tail (名)(動物の)尾,しっぽ
wag (動)〈体の部分などが〉振れる,揺れ動く
whine (名)(犬などの)鼻を鳴らす声; すすり泣きの声
lick (動)〈…を〉(舌で)なめる
guard (動)(攻撃・危険などに備えて)〈…を〉守る,護衛する
security (名)〔危険・危害などに対する〕防衛(手段), 警備(態勢), 安全保障
intruder (名)侵入者; 乱入者,じゃま者,でしゃばり
command (動)(権力・権限のある者が正式に)〈…を〉命令する
loyalty (名)忠実,忠誠,忠節,忠義,勤王

5

行動の変化は身体的な変化も伴っていた。

実験が進むにつれ、家畜化されたキツネはますます犬に似てきた。

ひとつには、体の色に奇妙な変化があった。

薄茶色の斑点があるキツネもいれば、黒地に大小の白い斑点があるキツネもいた。

これらのキツネには他にも驚くべき変化があった。

彼らには垂れ耳と巻き尾が生えたのだ。

脚と尾の骨も短くなった。

口先は短くなり、頭蓋骨は広くなった。

つまり、彼らの骨格構造はより犬のそれに近くなったのである。

6

研究グループのメンバーであるリュドミラ・トルート教授は、キツネの家畜化の過程をDNAレベルで調べた。

彼女は、従順なキツネの行動や身体的特徴が、12番染色体のある領域の遺伝的変化に関連していることを発見した。

これらの新たな遺伝的変化は、家畜化されたイヌのDNAにも見られ、研究グループはイヌの家畜化過程を遺伝子レベルでほぼ再現したことになる。

7

この実験結果は、選択的繁殖と人間との接触という長く継続的なプロセスを経て、野生のオオカミが今日の私たちの多くがペットとして飼っている犬になったことを示唆している。

そして今、この過程がDNAレベルで起こっていることがわかっている。

人類は何万年もの間、犬とともに暮らし、「人間の親友 」という称号を得てきた。

犬は番犬や牧畜犬などの作業犬として人間に奉仕し、その見返りとして人間は犬に保護、尊敬、愛情を与えてきた。

このような長い時間をかけたWin-Winの関係によって、人間と犬は共存し、今日の犬たちが誕生し、そしてこの友情はこれからも続いていくことだろう。

behavioral (形)行動の[に関する]
progress (名)進歩,発達,発展
domesticated (形)家庭的な
odd (形)変な,風変わりな,妙な
speckle (名)(特に色のついた,表面いっぱいにある)小さなはん点,ぽつ,斑(ふ)
patch (名)斑点(はんてん), まだら
varying (形)(連続的に)変わる,変化する
droopy (形)たれた,しなだれた
curly (形)巻き毛の,カールする
bone (名) 骨
snout (名) (豚などの)突き出た鼻
skull (名)頭蓋(ずがい)骨,どくろ
skeletal (形)骨格の,骸骨(がいこつ)の
domestication (動)〈動物などを〉飼い慣らす
DNA (名)デオキシリボ核酸
chromosome (名) 染色体
domestic (形)飼い慣らされた
roughly (副)ざっと,概略的に
reproduce (動)〈場面・音などを〉再現する,再生する
continuous (形)連続的な,切れ目のない,とぎれない
selective (形)選択的な; 精選する,選択眼のある
breeding (名)繁殖
herd (名)家畜[動物]の群れ
coexistence (名)共存,共在