Lesson5 “Political Correctness”

1

近年、人の呼び方は大きく変わりました。

少し前までは、多くの仕事が男性か女性かによって2つの名前を持っていました。

男性の仕事「執事、詩人、彫刻家、警察官」

女性の仕事「スチュワーデス、女詩人、女性彫刻家、女性警察官」

2

最近では、職場での男女平等を求める大きな社会運動の結果、「-ess」名称のほとんどは姿を消しました。

「女優」や「ウェイトレス」、その他いくつかの呼び名は今でもよく耳にしますが、女性の詩人や彫刻家が『女性詩人』や『女性彫刻家』と呼ばれるのを耳にするのは久しぶりです。

今では、ただ単に「詩人」「彫刻家」と呼ばれています。

飛行機では客室乗務員は『客室乗務員』、警察署では『警察官』しか見かけません。

steward (名)執事,家令
stewardess (名)(旅客機などの)スチュワーデス
poetess (名)女流詩人
sculptress (名)女流彫刻家
policewoman (名)婦人警官、婦警
equal (形)平等な,対等の,均等な; 互角の; 〔…と〕平等の,対等の
workplace (名)仕事[作業]場
aeroplane (名) 飛行機
cabin (名)(客船の)客室
attendant (形)付き添いの,随行の

3

あるグループについて語ろうとするとき、私たちは時に困難に出くわします。

老人たちを何と呼ぶべきでしょうか?

「年配者」、「高齢者」、「シニア」、それとも他の呼び方でしょうか?

車いすを使わなければならない人を何と呼ぶべきでしょうか。

「ハンディキャップ」、「障害者」、「障碍者」、「身体障碍者」、あるいは他の何かでしょうか?

太っている人を何と呼ぶべきでしょうか?

「太り過ぎ」、「サイズ違い」、「プラスサイズ」、あるいは他の呼び方をすべきなのでしょうか?

服を売る店では、このような問題が実際に起きています。

4

アメリカでは、黒人をどう表現するのがベストなのか、何年も悩んでいます。

『ネグロ』という言葉は不快に感じられ、『黒人たち』というような表現もそうでした。

結局、「アフリカ系アメリカ人」という呼称が一般的になり、現在でも広まっています。

しかし、今日流行している名前が10年後も残っているという保証はありません。

aged (形)老齢の,老いた
handicapped (形)〈人が〉障害のある
abled (動)able(できる)の過去形および過去分詞形
physically (副)肉体的に,身体上
challenged (形)努力を必要とする[強いられる],障害をもった
fat (形)(まるまると)太った,肥満した
overweight (形)〈人が〉太りすぎの
sized (形)(…の)大きさの
plus-sized (形)一個上の大きさの
offensive (形)いやな,不快な
guarantee (名)(製品などの一定期間の)保証; 保証書

5

政府、雇用主、その他の社会集団は、ある名前を優遇し、別の名前を禁止することで、問題を解決しようとすることがあります。

「それは誰もが使うべき名前だ 」と彼らは言います。

もしそれを使わなければ、トラブルに巻き込まれることもあります。

『正しい』名前を使わなければ、罰金を科されたり、職を失ったりするかもしれません。

そのため、『政治的に正しい』という言葉が最近よく使われます。

ある名称が政治的に正しい(略して「PC」)とは、それが何かの正式名称であることを意味しています。

また、その名称が指す人々に不快感を与えないことを意味します。

employer (名)雇用者,雇い主,使用者
sort (動)〈…を〉分類する; 〈郵便物を〉区分する
favour (名)親切、支持する
fine (名)罰金,科料
politically (副)政治上,政治的に(は)
offence (名)違反, 罪の原因, 法律違反, 無礼, 気を悪くすること

6

政治的正しさは、最初は良い考えでした。

しかし、残念なことに、実際には誰かを不快にさせていないにもかかわらず、自分が誰かを不快にさせていると思い込む人が出てきました。

そして、実際にはまったく不快でない言葉をわざわざ使わないようにする人も出てきました。

批判されることを恐れて、非常に奇妙な話し方を発明し、人々はそれを笑うだけでした。

それは今でも続いています。

例えば、コメディアンが差し歯の人を『歯に障害がある』と冗談を言うのを耳にします。

offend (動)〈もの・ことが〉〈感覚・正義感などを〉傷つける,そこなう
criticise (動)批評する, 批判する, 非難する
bizarre (形)奇怪な,異様な; 信じられない
joke (名)冗談,ジョーク
dentally (副)歯の; 歯科(用)の

7

多くの人々は、PC運動が行き過ぎたために、実際にはまったく罪のない言葉に対して私たちが敏感になっていると考えています。

「ブラック」(肌が黒い人を意味する)という言葉が侮辱的だと最初に考えられたとき、どんな状況でもこの言葉を使わないようにしようとした人たちの話がアメリカからたくさん出てきました。

「ブラックコーヒー」を頼むのが怖くて、代わりに「ミルクなしのコーヒー」を頼んみました。

教師たちは「黒板」について話すのを怖がりました。

時々、私たちは新聞でそのようなことについて読みます。

多くの人がばかばかしいと思うため、この発言はしばしば口論の原因になります。

8

クリスマスには、『ハッピー・クリスマス』ではなく『ハッピー・ホリデー』と書かれたグリーティングカードが届きます。

キリスト教のお祭りを祝うカードを受け取ったら、私が気分を害するかもしれないと心配して、送り主はその言葉を選んだのでしょう。

本当に残念なことです。

私は、キリスト教、ヒンズー教、ユダヤ教、イスラム教など、あらゆる宗教に属する人々が違う祭りを祝う時期にはお互いにグリーティングカードを送りあっていることを知っているのです。

彼らはその多様性を喜んでいます。

宗教的な背景をまったく知らない人たちも、お祭りの時期にカードを送ったり受け取ったりすることを同じように喜んでいます。

そうあるべきだと私は思います。

すべてのカードが「Happy Holidays」とだけ書かれる日が来ないことを願っています。

innocent (形)無罪の,潔白な
insulting (形)侮辱の[的な], 無礼な
quarrel (名)(立腹しての)口げんか,口論,仲たがい
sender (名)送り主,発送人,差出人,発信人
Christian (形)キリスト教の
shame (名)残念な[ひどい,気の毒な]こと
Hindu (名)ヒンドゥー教信者
Jew (形)ユダヤ人の
Muslim (名)イスラム教徒,回教徒
diversity (名)多様性
delighted (形)〔…に〕大いに喜んで

9

そうなるかどうかは私次第ではありません。

政治的正しさが行き過ぎたかどうかを決めるのは次の世代です。

それはつまり、あなたのことなのです。