Lesson10 “What If There Were No Moon?”

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あなたは月について教授の講義を聞いています。

今日は、皆さんもよくご存知の天体、月についてお話ししましょう。

太古の昔から人々はその美しさに憧れ、月の満ち欠けをもとに暦を作り、月に行くことを夢見てきました。

月は人類が足を踏み入れた唯一の天体です。

皆さんはアポロ11号をご存知ですよね?

アポロ11号は1969年に人類初の月面着陸に成功しました。

地球の唯一の衛星である月は、太陽系の他の衛星に比べて異常に大きいです。

私たちの月の直径は地球の直径のおよそ4分の1です。

一方、太陽系の他の衛星の直径は、最大でもそれぞれの惑星の18分の1です。

軌道を回る惑星に対してこれほど大きな月は他にありません。

この巨大な衛星は地球に大きな影響を与えています。

地球と月は互いに引力を及ぼし合っています。

その過程で、月は海を引っ張り、海水の上昇と下降を引き起こしています。

これが干潮と満潮の理由です。

celestial (形)天の、天体
wax (名)増大する、(月が)満ちる
wane (名)(力、光などの)衰え、(月の)欠け
Apollo (名)宇宙船アポロ号
lunar (形)月の、月面上の
satellite (名)衛星
roughly (副)およそ
respective (形)それぞれの
proportion (名)割合、比率
orbit (名)(惑星や衛星の)軌道
exert (動)(影響を)与える
gravitational (形)重力の、引力の
tug (動)〔~を〕強く[急にグイ(ッ)と]引く[引っ張る]
tide (名)潮の干満、満潮

2

もし月がなかったら、地球はどうなっているか想像してみてください。

月がなければ、もちろん地球には引力はありません。

したがって、地球は乱暴な速度で回転することとなります。

45億年前に月が形成されたとき、地球は今よりもずっと速く回転していましたが、月の引力の影
響で徐々に遅くなりました。

今、地球は24時間に1回自転してますよね?

もし月がなければ、その3倍の速さ、つまり8時間に1回自転することになります。

その結果、地球の大気はより乱れやすくなります。

猛烈な風が時速数百キロで地表を吹き荒れます。

海は地球上で激しく荒れるでしょう。

例えば木星について考えてみましょう。

驚くべきことに、木星は10時間に1回自転し、時速480キロの風を発生させています。

地球は月の存在によって、はるかに穏やかな風を享受しています。

accordingly (副)それで、その結果
rotate (動)(軸や中心の周りを)回転する
spin (動)(高速に)回転する
atmosphere (名)大気
turbulent (形)(波風などが)荒れ狂う
fierce (形)猛烈な、激しい
sweep (動)素早く通過する
rage (名)猛威、大荒れ
Jupiter (名)木星

3

月が地球に影響を与える別の影響は地球の軸の傾きで、地球は今23.4度傾いた状態で回転をしていますが、月がなければ地軸は制御不能にぐらつくでしょう。

これは木星や土星のような巨大惑星の重力の影響によるものです。

いずれにしても地球はその影響を受けます。

しかし、月の引力があることで、その影響はかなり軽減され、地球の傾きは安定しています。

地軸がずれると、地球上のあらゆる場所の気候に多大な影響を及ぼします。

2つの例を挙げてみましょう。

もし地軸がまったく傾いていなかったらどうなるでしょうか?

地球上のほぼすべての場所で、1年を通して昼の時間が12時間、夜の時間が12時間になりま
す。

季節もありません。

逆に、地球が90度傾いていたらどうでしょう。

それぞれの半球は、1年の約半分を太陽光で、残りの半分を暗闇で交互に過ごすことになりま
す。

tilt (名)傾き
axis (名)軸、回転軸
wobble (動)グラグラする
Saturn (名)土星
steady (形)(場所や位置などが)固定した
shift (動)(位置、方向などが)変わる、ずれる
tremendous (形)とてつもなく大きい
daylight (名)昼間、日中
darkness (名)暗闇
conversely (副)逆に、反対に
angle (名)角度
hemisphere (名) 半球
alternately (副)交互に、代わる代わる

4

月のない地球はもっと危険な場所になるでしょう。

私たちの母星は、より多くの流星に襲われることでしょう。

もちろん、今でも地球は時々流星に襲われています。

しかし、流星の一部は月の重力に引っ張られて地球に衝突しています。

月は45億年もの間、流星から地球を守ってきました。

もし月が存在しなかったら、地球はたくさんの流星に襲われ続けていたでしょう。

6,600万年前に恐竜を絶滅させたような巨大隕石が、もっと頻繁に地球を襲うことになります。

月の存在がなければ、地球はまったく別の場所、敵対的な異世界になっていたことは明らかです。

生命は誕生しなかったかもしれません。

仮に生命が誕生していたとしても、まったく異なる進化を遂げていたでしょう。

私たち人類は間違いなくここにいなかったでしょう。

地球をこのような幸運な惑星にしてくれた月に感謝しなければなりません。

moonless (形)月を持たない
meteor (名)隕石
smash (動)粉砕する、壊滅させる
continuously (副)つながって、途切れなく
massive (形)巨大な
wipe (動)拭く、一掃する
hostile (形)適さない
differently (副)異なって