Lesson11 “Why Do People Build and Break the Wall?”

Section1

長い間、日本人は木と紙で作られた襖や障子で仕切られた部屋で暮らしてきた。

これらの仕切りは非常に薄いため、音が隣の部屋に漏れやすい。

境界が曖昧であるため、日本人は常に身近に気遣ってくれる家族がいるという感覚を持ってきた。

一方、西洋式の住宅では壁で区切られており、その壁は多くの場合、頑丈な石やレンガでできている。

それらの壁は十分に厚く、他者から個人のプライバシーを守る。

こうして人々は互いの個性を尊重しながら日常生活を送る。

和風住宅か洋風住宅、あなたはどちらを好みますか？

今日では日本人でさえ、こうした洋風住宅に住むことを選ぶことが多い。

なぜ世界中の多くの人々は、他者から隔てる壁を築くのだろう？

Section2

陸続きの国々では、壁が人々を敵から守ってきた。

一方、日本は海に囲まれた島国である。

日本には国境を接する国がないため、壁を築く必要はほとんどなかった。

世界には「万里の長城」や、パレスチナとイスラエルを分断する「分離壁」、異なる宗教を隔てる「キプロス分離壁」など様々な壁がある。

壁の真の意味を知るには、海外に出る必要がある。

こうした壁を目にすると、圧迫感や違和感、不快感を覚えるかもしれない。

目に見える壁だけでなく、内面的な障壁や言語の壁といった見えない壁も存在する。

私たちは壁を築き、乗り越え、打ち破ってきたのだ。

Section3

壁は本来、人々を隔てるものだが、時にはそれ以上の意味を持つ。

第二次世界大戦後、ドイツは東西二国に分断された。

現代で最も象徴的な壁であるベルリンの壁は1961年に築かれた。

この壁は崩壊するまで東西ベルリンの人々を隔て続けた。

1989年、多くのドイツ人が自由を求めて壁を打ち破った。

今日のベルリンの壁には二重の意味がある。

一つは冷戦の象徴、もう一つは自由の象徴である。

では、あなたにとって壁とは何だと思いますか？

見える壁であれ見えない壁であれ、学業や卒業後のキャリア、人間関係の問題など、様々な壁に直面するでしょう。

それらを乗り越えることで、壁の意義を改めて確認できるはずです。

Section4

今日、私たちは新たな問題に直面している。

世界中で多くの新たな壁が築かれている。

1989年にベルリンの壁が崩壊した当時、人々は「21世紀までには世界の壁はすべて消えるだろう」と言っていた。

当時はわずか16の壁しかなかったが、2019年には75に増加した。

この75の壁の全長は、地球の円周とほぼ同じ距離に相当する。

壁は不安と恐怖から築かれる。

もし世界に壁がなかったらと想像してみよう。

それはあらゆるものを分かち合い、どこへでも自由に行ける世界だ。

実現は難しいかもしれない。

しかしもし実現できれば、世界は一つになるだろう。