Part1
地球上のすべての人々を養うのに十分な食糧があるというのは本当ですか?
回答
地球上のすべての人を養うことができるのは事実です。
例えば、世界中で年間約26億トンの穀物が生産されています。
それを世界中の人々に均等に配給すれば、一人当たり1年間に330キログラム以上の穀物を食べることができます。
これは日本人が1年間に消費する量の2倍以上です。
とはいえ、8億2000万人以上、つまり世界の9人に1人が飢餓に苦しんでいるのも事実です。
これは、食糧がすべての人に平等に行き渡っていないことを意味します。
実際、世界で生産される穀物の約半分は、世界人口の20%にも満たない先進国で消費されています。
さらに、人類が消費するために生産される食料の約3分の1が、毎年失われたり無駄になったりしているのが実情です。
これは約13億トンにのぼります。
失われたり無駄になったりする食料の4分の1を節約すれば、世界中の飢えた人々のために十分な食料を節約できることになります。
hunger | (名)飢え,飢餓(きが); 空腹,ひもじさ |
---|---|
metric | (形)メートル(法)の |
cereal | (名)穀物,穀類 |
annually | (副)毎年; 年一回ずつ |
distribute | (動)〔…に〕分配する,配る; 配布する,配給する |
evenly | (副)平等に; 公平に |
consume | (動)〈…を〉消費する,使い尽くす |
nevertheless | (副)それにもかかわらず,それでも |
imply | (動)〈…を〉(必然的に)含む,伴う,含蓄する; 〈…の〉意味を暗に含む,〈…を〉(暗に)意味する |
equally | (副)等しく; 同様に |
moreover | (副)そのうえ,さらに |
truth | (名)真実,真相,事実 |
Part2
(1)
人間のために生産された食料の多くが、フードサプライチェーンの中で失われ、浪費されています。
食品ロスはサプライチェーンの初期段階、つまり店舗や消費者に食品が届く前に発生しています。
例えば、発展途上国では、農家が適切な貯蔵設備を持っていないために、作物の大部分が失われています。
食品はしばしば虫や小さな生き物に食べられてしまいます。
さらに、輸送中に食品が失われることもあります。
例えば、冷蔵設備のないトラックで輸送されると、食品は腐ってしまいます。
(2)
一方、食品廃棄はサプライチェーンの終わり、つまり店舗、レストラン、家庭で発生します。
食料品店では賞味期限を過ぎた食品が廃棄され、レストランでは食べきれなかった食品が捨てられます。
家庭でも、残った食品は冷蔵庫で腐り、捨てられます。
(3)
食品ロスや廃棄を減らすことの重要性を認識した国連は、人々に行動を起こすよう呼びかけています。
SDGsの目標の一つとして、2030年までに食品廃棄物を半減させ、食品ロスを削減する必要があります。
世界中の政府、団体、個人がこの目標達成に向けた取り組みを始めています。
crop | (名)作物,収穫物 《穀物・果実・野菜など》 |
---|---|
appropriate | (形)適当な,適切な,ふさわしい |
storage | (名)貯蔵,保管 |
equipment | (名)備品,設備,装具,用品; 機器,器材 |
bug | (名)(小さな)昆虫,虫 |
creature | (名)生き物; (特に)動物 |
furthermore | (副)なお,そのうえ,さらに |
transport | (動)〔…から〕〔…へ〕輸送する,運送する |
refrigeration | (名)冷却,冷凍 |
discard | (動)〈…を〉(不要なものと)捨てる,処分する |
grocery | (名)食料雑貨店,食料品店 |
uneaten | (形)食べられていない |
leftover | (形)残りの,余りの,食べ残しの |
individual | (形) 個々の,各個の |
Part3
(4)
フランスは、食品廃棄物を減らすための法律を作った最初の国です。
2016年以降、大型スーパーマーケットでは食品を捨てることが禁止されています。
その代わりに、食品を寄付するか、堆肥や家畜の飼料にすることが義務付けられています。
フランスは食品廃棄物削減のリーダー的存在となり、他の国々を刺激しています。
(5)
スペインのガルダカオという町では、2015年に歩道に公共冷蔵庫が設置されました。
近隣のレストランや家庭の人々が余分な食べ物や残飯を冷蔵庫に入れ、欲しい人は無料で持ち帰ることができます。
公共冷蔵庫を設置する動きは、イギリス、ベルギー、アルゼンチン、イスラエルなど多くの国に広がっています。
(6)
10月16日は国連が制定した「世界食料デー」です。
日本では10月全体を「世界食料デー月間」と定めています。
この期間中、日本各地でさまざまな食のイベントが開催されます。
例えば、2019年に行われたイベントでは、参加者に未利用食品を使ったレシピをSNSに投稿してもらいました。
このイベントのスポンサーは、投稿1件につき120円をアフリカの学校給食を支援するチャリティ団体に寄付しました。
prohibit | (動)〈…を〉禁じる,禁止する |
---|---|
require | (動)〈あることを〉必要とする |
compost | (名)堆肥(たいひ), 積み肥え |
reduction | (名)縮小,削減; 割引 |
Galdakao | (名)ガルダカオ |
refrigerator | (名)冷蔵庫 |
sidewalk | (名) (舗装した)歩道,人道 |
nearby | (形)近くの |
household | (名)家族,一家,世帯 |
excess | (名)過多,過剰; 超過 |
whoever | (代)(…する)だれでも,どんな人でも |
Belgium | (名)ベルギー |
Argentina | (名)アルゼンチン |
Israel | (名)イスラエル(国) |
designate | (動)〈…を〉(明確に)示す,指示する |
unused | (形)使用され(てい)ない; 用いられたことのない; (使い)残された |
Part4
(7)
食品ロスや廃棄の問題に取り組むもうひとつの方法は、テクノロジーを利用することです。
最近では、さまざまな食品共有アプリが開発され、特に注目されています。
これらのアプリは、食品を廃棄したくない人々と、それを必要としている人々とのマッチングを支援します。
(8)
アプリの中には、人と人をつなぐものもあります。
家に食べきれないほどの食べ物があるとき、こういったアプリを使って分け合う相手を探すことができます。
また、小売店と買い物客をつなぐアプリもあります。
スーパーマーケットは、売れ残った食品の割引情報を掲載することができます。
買い物客はアプリでこの売れ残り食品を安く購入し、後でスーパーに取りに来ることができます。
また、店舗と慈善団体をつなぐアプリもあります。
レストランがすぐに腐りそうな食品を余らせた場合、その食品を寄付することができます。
こうしたアプリは、フードサプライチェーンのあらゆる段階で、食品ロスや廃棄を減らすのに役立ちます。
(9)
食品ロスや廃棄は世界的な問題です。
世界中の誰もがこの問題の原因を理解し、解決に向けて努力しなければなりません。
こうした努力が実を結んだとき、ようやく飢餓のない世界が実現するのです。
tackle | (動)〈仕事・問題などと〉取り組む |
---|---|
retailer | (名)小売商人 |
shopper | (名)買い物客 |
discount | (動)〈…を〉割引する |
unsold | (形)売れない,売れ残りの |
purchase | (動)〈ものを〉買う,購入する |
surplus | (名)余り,過剰 |
spoil | (動)台なしになる,傷む; 〈食物が〉腐敗する |
カテゴリー