Lesson7 “Virtual Water”

Part1

水は人間が生きていくために不可欠なものです。

人が生きていくためには、毎日2~3リットルの水を飲む必要があります。

また、水は他の多くの目的にも使用されます。

人々は料理、入浴、洗濯など、平均して1日に約300リットルの水を使っています。

しかし、これは直接使う水だけです。

食料の生産にも大量の水が使われています。

例えば、小麦1キログラムを生産するのに必要な水は2,000リットルにも及びます。

鶏肉1キログラムには4,500リットルの水が必要です。

また、豚肉1キログラムには6,000リットルが必要です。

牛肉1キログラムなら2万リットルです!

このように、農作物の栽培や家畜の飼育には大量の水が使われています。

これらの生産に使われる水は、私たちとって目に見えないことから「バーチャルウォーター」と呼ばれています。

この言葉が使われ始めたのは1990年代初頭のことです。

essential(形)欠くことのできない,必須の,非常に重要な
liter(名)リットル
alive(形)生きて
average(名)平均
directly(副)直接に
wheat(名)小麦
crop(名)(特定の)作物,収穫物 《穀物・果実・野菜など》
virtual(形)事実上の,実質上の,実際(上)の
invisible(形)目に見えない
term(名)(専門分野での)術語,用語,専門語

Part2

海外から物を輸入する場合、その生産に使われる水も「輸入」されます。

この概念は、他国からある国へどれだけの水が運ばれているかを測る「物差し」として研究に使われています。

これは、商品を生産するために使用される水の量と、ある国が他国にどれだけ水を依存しているかの両方を教えてくれます。

バーチャルウォーターの観点から日本を見てみましょう。

日本が淡水に恵まれていることはよく知られており、降水量は世界平均の2倍もあります。

日本人はきれいな水を簡単に利用できます。

しかし、それでも他国からのバーチャルウォーターに依存しています。

地図1(p.116)は、食料の半分以上を輸入に頼っている日本が、バーチャルウォーターの多用国であることを示しています。

食品の生産に使われる水を考慮すると、日本人は1日平均3,000リットルの水を使用していることになります。

これは世界平均の約2倍です。

import(動)〔…へ〕輸入する
concept(名)構想,発想,コンセプト
measure(動)〈…を〉測定する,測る
rainfall(名)降雨[降水]量,雨量
access(名)〔資料などの〕入手,利用
dependent(形)〔…を〕頼って,扶養されて
user(名)使用者,利用者,ユーザー

Part3

地図1(p.116)が示すように、日本は食品を中心に大量の水を海外から輸入しています。

なぜ日本はこれほど多くの水を海外から輸入しているのでしょうか?

それは、日本の食料自給率が近年低下しているからです(図1参照)。

自給率は60年前よりはるかに低くなっています。

食習慣の変化もその一因です。

日本人が食べる米の量は、60年前の半分以下になっています。

その代わり、パンや麺類を多く食べるようになりました。

これらは小麦から作られています。

そして小麦はほとんどが外国から輸入されています。

小麦製品の消費が増えるということは、食料自給率の低下を意味します。

加えて、日本人は輸入肉や乳製品をより多く消費しています。

牛乳やその他の乳製品を生産するには多くの水が必要です。

食肉を生産するためには、さらに多くの水が使われます。

牛や豚などの家畜を育てるには、多くの時間と水が必要です。

また、飼料の栽培にも多くの水が必要です。

mainly(副)主に,主として
recent(形)最近の,近ごろの,新しい
decrease(動)〈…を〉減少させる,低下させる
figure(名)図,図解,さし絵 《略 fig.》
partly(副)ある程度は,少しは,幾分かは
blame(動)〔罪を〕〈人・物事に〉負わせる; 〔…を〕〈…の〉せいにする
mostly(副)大部分は
consume(動)〈…を〉消費する,使い尽くす
dairy(形)酪農の
livestock(名)(牛・馬・羊などの)家畜

Part4

日本は海外から大量の水を輸入しています。

おそらく、これに関して最悪なことは、それがいかに浪費されているかということでしょう。

スーパーやコンビニで見かける食品の多くは、捨てられていることが多いです。

日本は多くの食品が輸入され、売られずに捨てられている国なのです。

食品に含まれるバーチャルウォーターは完全に無駄になっています。

世界の人口が増えれば、水の需要も増えます。

20世紀の戦争の多くは石油をめぐって起こったものです。

専門家の中には、21世紀には水をめぐって各国が争うだろうと言う人もいます。

私たちは、水が共有すべき重要な資源であることを認識しなければなりません。

水を大切にするために、私たち一人ひとりができることを真剣に考えなければならない時代なのです。

demand(動)〈…を〉要求する
recognize(動)〈…を〉(事実[正当]であると)認める,認知する,承認する
resource(名)(一国の)資源,供給源,物資
conserve(動)(注意深く十分配慮して)〈…を〉保存する,保護する; 〈資源などを〉大事に使う,浪費しない