Optional2 “Sowing the Seeds of Hope”

Part1

私は 「コーラルマン」です。

私の仕事は海でサンゴを育てることです。

この仕事を始めたのは、1998年のある日、沖縄近海のサンゴに異変を感じたからです。

その日、海は白く輝いていました。

潜ってみると、つい3カ月前までは色とりどりできれいだったサンゴが、真っ白になっていたのです。

周りの魚や他の海洋生物もいなくなっていました。

どうして誰も何もしてくれないんだろうと思いました。

だから、自分でサンゴを育てて救おうと思いました。

サンゴに卵を産ませることに成功した人は誰もいませんでした。

私は世界で最初になりたかったのです。

coral (名)サンゴ
unusual (形)普通でない,異常な,まれな; 珍しい
dive (動)(頭を先に水中に)飛び込む
marine (形)海(洋)の; 海にすむ,海産の

Part2

試行錯誤の末、ようやくサンゴの移植に成功しました。

サンゴの専門家が集まる会合に行き、プレゼンテーションをしました。

標準語や専門用語の使い方が悪かったのか、すぐに笑い声が聞こえてきました。

間違いなく彼らは「お前は素人だ。ここから出ていけ。」と思ったに違いありません。

「サンゴが死にかけてるんだ。でも、あなたがやっていることは、事務所でパソコンや本を使って勉強しているだけでしょう。」と言いたかったです。

私は「あなたたちは本当に起こっていることについて何も知らない!」と怒鳴りました。

私はミーティングを終えて、こう自分に言い聞かせました。

「サンゴを植えるだけでは十分ではない。何が何でも卵を産ませると決めた。そうすれば、海に新しい生命が根付いていることを示すことができる。」

熱い思いを感じました。

transplant (動)〔…へ〕移植する
standard (名)(比較・評価の基礎となる)標準,基準
technical (形)専門の[的な]
layman (名)しろうと,門外漢
determined (形)決然とした,断固とした; 断固とした意志を表わした
root (名)根源,根本; 核心,基礎
passionate (形)熱烈な,情熱的な,激しい

Part3

2005年に移植したサンゴは成長し、小さなサンゴ礁を形成しました。

そのサンゴが初めて卵を産むところを見たかったので、毎日観察していました。

でも、その瞬間が来ることはないかもしれないと恐れていました。

2007年6月のある夜、私はサンゴから数個の卵が生まれ始めていることに気づきました。

待ちに待った瞬間がついにやってきたのです。

月明かりに照らされ、無数の卵が輝いていました。

卵は私の周りを浮遊し、海面はピンク色に染まりました。

海は星空のように輝き始めました。

その美しい光景に、私は涙を流しました。

卵のひとつひとつに新しい命が宿っていました。

沖縄の未来への新たな希望です。

仕事を続けてきて本当によかったと思いました。

reef (名)礁(しよう) 《海面または海面近くに突出する細長い部分; 岩礁・暗礁・砂礁・砂州など》
notice (動)気がつく
moonlight (形)月光の,月明かりの
numerous (形) 多数の,おびただしい
starry (形)〈空など〉星の多い,星をちりばめた,星明かりの

Part4

今でもサンゴを植えています。

最近では、この仕事の重要性を理解する人が以前よりも増えています。

彼らは私を応援してくれます。

一方、悲観的な人もいます。

海水温の上昇、台風の強大化、病気、沿岸開発、赤土の流出などによって、サンゴ礁は再びダメージを受けるかもしれないと言うのです。

私はこれらのリスクを承知しているが、不平を言う代わりに、できるだけ多くのサンゴを移植したいと思っています。

私の目標は、美ら海、沖縄の美しい海を取り戻すことです。

奇跡のサンゴ礁が、かつての沖縄の海を取り戻すと確信しています。

pessimistic (形)悲観的な,厭世(えんせい)的な
coastal (形)沿岸の
clay (名)土,泥
outflow (名)流出
aware (形)〔…に〕気づいて,〔…を〕知って
complain (動)不平を言う,ぐちをこぼす
restore (動)復活させる,復興[再興]する; 再建する
confident (形)確信して
miracle (名)奇跡