Lesson9 “Biodiesel Adventure: From Global to Glocal”

Part1

(1)

私はフォトジャーナリストの山田周生です。

環境にやさしい車「バスコファイブ号」を設計し、世界中を運転しています。

バスコファイブ号は植物オイルで走るユニークな機械です。

使用済み植物オイルからバイオディーゼル燃料を製造する機械を搭載しています。

私の旅では、新しいオイルを買いませんが、多くの国々の人々から廃棄オイルを集めています。

私の旅の計画の名前は「バイオディーゼルアドベンチャー」です。

(2)

私の旅には2つの目的があります。

1つは廃棄オイルだけを使ってどのくらい遠くに行けるかを調査することです。

もう1つは、バイオディーゼル燃料について世界中の人々に伝えることです。

(3)

旅を始める前、1つの心配事がありました。

世界にはたくさんの種類の植物オイルがあります。

異なるすべてのオイルのタイプをバスコファイブ号が処理できるか定かじゃありませんでした。

しかし人々が言うとおり、「やってみる」ことでしか学べないというように、私は2007年12月5日に東京でバスコファイブ号のエンジンを動かし始めました。

日本でテスト走行した後、太平洋を渡り、北アメリカへ航海しました。

以下のルートで世界一周47,853kmを走り、バスコ5号と私は2008年12月1日に東京に戻りました。

photojournalist (名)フォト[写真]ジャーナリスト,写真報道家
Vasco-5 (名)バスコファイブ号
biodiesel (名)バイオディーゼル
route (名)道,道筋; ルート; 航路

Part2

(4)

私が旅に出たとき、地元のレストランやホテルでバイオディーゼル燃料について詳しく知っている人はほとんどいませんでした。

そのため、廃油を燃料として使いたいと頼んでも断られることが多々ありました。

がっかりしました。

それでも、私のプロジェクトを知った人たちが、自宅から廃油を持ってきてくれるようになりました。

油だけでなく、食べ物や宿泊場所を無償で提供してくれる人もいました。

私は助けてくれた人々の優しさに感動しました。

さまざまな人種、さまざまな国の人たちとの出会いは、私にとってこの旅で最も貴重な贈り物でした。

(5)

私の旅を通して、延べ1,000人以上の人々が廃油を提供してくれました。

私の旅は、廃油だけで世界一周ができることを証明しました。

最終的に、バスコファイブ号は6,540リットルの廃油を使って旅をしました。

この冒険から私が学んだ教訓があります。

私たち一人ひとりが善意を持って小さな努力を積み重ねれば、大きな成果を生み出すことができるということです。

disappointed (形)がっかりして,失望して
race (名)人種
prove (動)(証拠・論証などで)証明する,〈…の〉真実であることを示す
intention (名)意図,意向

Part3

(6)

2009年4月19日、世界一周から帰国して約4ヵ月後、私はまた新たな旅を始めることにしました。

今回は、バスコファイブ号の走行距離をさらに伸ばし、その可能性を探るための日本一周です。

視察を終えたバスコファイブ号は、予定通り東京から旅に出ました。

(7)

しかし、2011年3月11日、岩手県で悲劇は起こりました。

東日本大震災が発生したのです。

ライフラインが完全に寸断された状況でした。

ふと、こんなことを思いました。

「化石燃料に頼らず、廃油で動くバスコファイブ号がある。

発電もできるからラジオも聞けるし、インターネットで情報を発信するのに必要な機材も揃っている。

バスコファイブ号の機動力と情報発信力を活かして、人助けができるかもしれない。

今こそ動くときだ!」

そう決断した私とバスコファイブ号は、救援活動を開始しました。

mileage (名)(一定時間内の)総マイル数,走行距離
explore (動)〈未知の土地などを〉探検する,実地踏査する
inspection (名)(公式・正式の)視察,監察,検閲,査閲
lifeline (名)ライフライン、救命索、生命線、命綱
rely (動)当てにする,頼る
generate (動)(物理的・化学的に)発生させる,生じる,起こす
transmit (動)〔…に〕伝える,告げる
mobility (名)可動性,移動性,機動性
relief (名)(難民などの)救助,救援

Part4

(8)

救援活動を始めた頃は、忙しさにかまけて振り返る余裕もありませんでした。

数ヵ月後、ようやくそれまでの仕事を振り返ることができました。

震災が浮き彫りにしたのは、現在のエネルギーシステムのもろさでした。

私たちは、いつか資源が枯渇することや、資源を利用できなくなることを知らずに、当たり前のようにエネルギーを利用し、依存してきました。

この問題に取り組むためには、地域単位で持続的に利用できる自然エネルギーや再生可能エネルギーを活用すべきだと私は考えました。

(9)

このような考えから、私はエネルギー自給プロジェクトを推進することにしました。

目先のニーズを満たすだけでなく、できるだけ多くの人々とつながることで将来のニーズをサポートする計画でした。

世界一周で得た知識を生かし、自然エネルギー、再生可能エネルギー、代替エネルギーを組み合わせた「グローカル」な自給自足モデルを目指しました。

そのために、岩手県釜石市で地域資源を活用した循環型社会を目指す団体を立ち上げました。

highlight (名)(歴史・話の)光彩のある場面; 最も興味のある事件,最重要点,呼び物,ハイライト
fragility (名)壊れやすさ,もろさ
energy (名) エネルギー,勢力
access (名) 〔…に〕近づく[入手の]方法,利用[参加]の権利; 〔…への〕アクセス
utilize (動)〔…に〕利用する,役立たせる
renewable (形)再生可能な
sustainably (副)持続可能で;持続可能に
immediate (形)即座の,即時の,早速の
glocal (名)グローカル
seek (動)〈人・ものなどを〉捜す,捜し求める
oriented (形)方向[関連]づけられた,志向性の

Part5

(10)

「グローカル」とは、「グローバル」と「ローカル」という2つの言葉をミックスした造語です。

「グローバルに考え、ローカルに行動する」という意味です。

私たちの組織の「グローカル」な取り組みのひとつに、古民家をリノベーションしたエコハウスの建設があります。

このエコハウスは、地域の中で循環型のライフスタイルを実現しようとするものです。

ソーラーパネル、風力発電、バイオディーゼル燃料を使用し、自然の再生可能エネルギーだけで電気を作っています。

(11)

私は他の人たち、特に若い人たちにグローカルな自給自足のライフスタイルを知ってほしいと思います。

私たちは何が起こるかわからない世界に生きているのですから。

若い人たちには、そんな変わりやすい世界で生きていく強さを持ってほしいです。

周りに何かが起こるのを待っているだけでは力はつかないということを心にとめてほしいです。

自分から行動を起こさないと何も変わりません、何かしたいと思ったら一歩踏み出せばよいのです。

そんなメッセージを若い人たちに発信し続けていきたいです。

私の本当の意味での「バイオディーゼルの冒険」は、まだ始まったばかりです。

globally (副)世界的に(見ると), 地球規模で
locally (副)特定の場所で,地元では; 地方的に
renovated (動)(…を)新たにする、 修復する、 刷新する
private (形)私的な,個人に属する; 私用の; 個人の
community (名)共同社会,共同体,コミュニティー; 地域社会
solar (形)太陽の,太陽に関する
changeable (形)〈天候・価格など〉変わりやすい