Lesson5 “Bailey the Facility Dog”

Part1

神奈川県立こども医療センターには、ゴールデンレトリバーのベイリーがいました。

ベイリーは、日本で初めて病院で働くファシリティドッグとして、2010年から働き始めました。

ベイリーの主な仕事は、入院している子どもたちを訪問して触れ合ったり、一緒に散歩をしたりすることでした。

また、子どもたちの治療にも一部関わっていました。

例えば、手術を受ける子どもたちと一緒に手術室にも行きました。

薬の飲み方も教えてあげました。

血液検査の間、リラックスさせました。

こうしたことを、ベイリーさんはパートナーの森田優子さんと一緒にやっていました。

森田さんは、「この病院のファシリティドッグとしてベイリーがいることは、私たちにとって重要なことなのです」と言います。

facility (名)設備; 施設
medical (形)医学の,医療の
golden (形)金色の,黄金色の,山吹色の
retriever (名)レトリーバー 《撃たれた獲物を探して持ってくるように訓練された猟犬》
main (形)主な,主要な; 主要部をなす
involve (動)〈…を〉伴う; 意味する,必要とする
treatment (名)待遇,扱い
surgery (名)(外科)手術; 外科的処置
operation (名) 手術
medicine (名)薬; (特に)内服薬
relax (動)楽にさせる,くつろがせる
blood (名)血,血液
partner (名)仲間,協力者 〔in,of〕; 〔人との〕仲間,連れ

Part2

ベイリーは病院に来る前、森田さんのもとでさまざまな種類のトレーニングを受けていました。

例えば、事故を起こさないための訓練や、犬が嫌いな人に対応するための訓練などです。

病院は大きなストレスがかかる場所です。

しかし、ベイリーがリラックスして楽しそうにしていたのは、いつも森田と一緒だったからです。

当初、病院のスタッフの中には、ベイリーは本当に患者さんの役に立っているのだろうかと疑う人もいました。

しかし、彼は病院にとって重要なスタッフになっていきました。

脳腫瘍で何度も手術を受けたある少年に笑顔を取り戻させました。

さらに、話すことも、体を動かすこともできない少年が、ベイリーに目を向けてくれました。

training (名)訓練,教練; 養成,練習; 鍛練; 調教
various (形)さまざまな,いろいろな,個々別々の
train (動)訓練する,養成する,仕込む
avoid (動)避ける,よける,回避する
accident (名)出来事,事故,災難
deal (動)〈人が〉〔問題・人を〕処理する,扱う
stress (名)(精神的な)圧迫感,ストレス,精神的重圧
beginning (名)初め; 始まり
doubt (動)疑う
truly (副)真実に,偽りなく,事実のとおりに; 正しく,正当に
helpful (形)助けになる,役に立つ,有益な
patient (形)忍耐強い,辛抱[我慢]強い
smile (動)微笑する,ほほえむ,にっこりする
brain (名)脳,脳髄
tumor (名)腫瘍(しゆよう)
moreover (副)そのうえ,さらに

Part3

ベイリーと一緒に手術室に行きたいという子どもはたくさんいました。

彼らは手術を怖がっていました。

でも、ベイリーのおかげで、勇気をもって手術に臨むことができました。

手術が終わったあと、ベイリーと触れ合って、子どもたちも家族もリラックスすることができました。

手術が終わっても、笑顔でいてほしいというのが森田の願いです。

ファシリティドッグの科学的な効果はまだ明らかではありませんが、犬は患者さんのリラックスに役立つと考えられています。

日本での研究によると、犬と飼い主が見つめ合うと、人間の体内でオキシトシンが分泌されたそうです。

これは、痛みや不安を軽減する働きのあるホルモンです。

face (動)〈ものが〉〈…に〉面する
courage (名)勇気,度胸
scare (動)〈人を〉(突然)怖がらせる,おびえさせる
scientific (形)科学の; 自然科学(上)の; 理科の
effect (名)効果; 影響
owner (名)持ち主,所有者,オーナー
oxytocin (名)オキシトシン
release (動)放つ,離す,はずす
human (形)人の; 人間の
hormone (名) ホルモン
reduce (動)減らす,減少させる; 縮める,縮小する; 切り詰める
pain (名) (肉体的)苦痛,痛み
anxiety (名)心配,不安

Part4

病院内にファシリティドッグがいることは、時に問題をはらんでいます。

例えば、ファシリティドッグ1頭と専任のハンドラーにかかる費用は、毎年約1,000万円です。

しかし、ファシリティドッグは患者さんやそのご家族にとって大切な医療従事者です。

2018年、ベイリーがファシリティドッグとしての活動を終えました。

8年間で、約3,000人の子どもたちを助けました。

退職後も、ベイリーがボランティアとして病院の図書室などにいる子どもたちを訪問しました。

ベイリーの後継者であるアニーは、日本初のメスのファシリティドッグです。

彼女はベイリーが働く姿を見て、さまざまなことを学んできました。

現在はファシリティドッグとして活躍しています。

また、人を喜ばせることが好きなようです。

million (名) 数百万,多数,無数
full-time (名)(労働・勤務などの)全時間
handler (名)トレーナー,セコンド
retirement (名)退職,退役
successor (名)後任,後継者,相続者,継承者
female (名)(動物の)雌
actively (副)活動的に,活発に; 積極的に