Lesson6 “Gaudi and His Messenger”

Part1

スペインのバルセロナに世界的に有名な建造物が建っています。

1882年から1世紀以上も建設が続けられています。

サグラダ・ファミリアと名付けられた異形の教会です。

教会員からの寄付金と入場料のみで賄われ、建設には長い年月がかかっています。

この教会を設計した建築家はアントニオ・ガウディ(1852-1926)です。

彼は1883年、まだ31歳で、ほとんど無名に近い状態で建築長の座を引き継ぎました。

ガウディは当初の計画に固執しませんでした。

それどころか、設計を大幅に変更しました。

ガウディがいなければ、サグラダ・ファミリアは現在とはまったく違ったものになっていたでしょう。

ガウディはスペインのカタルーニャ地方の職人の家に生まれました。

幼少の頃、彼は体調が悪く、外で遊ぶことができませんでした。

友達と走り回る代わりに、一人でじっと座っていなければなりませんでした。

彼は幼少期のほとんどを、その鋭い目と強い好奇心で、草花や昆虫など身の回りの自然を観察して過ごしました。

この経験は、彼の芸術に大きな影響を与えました。

structure (名)構造,機構,組織,組み立て
Barcelona (名)バルセロナ 《スペイン北東部の海港》
construction (名)建造,築造,建設,架設
odd (形)変な,風変わりな,妙な
Sagrada Familia (名)サグラダファミリア
donation (名)寄付,寄進
admission (名)入場料,入会金(など)
construct (動)〈…を〉組み立てる,建設[建造]する
Antonio Gaudi (名)アントニオガウディ
unknown (形)名の知られ(てい)ない,無名の
stick (動)〔…に〕くっつく,粘着する
drastically (副)徹底的に,思い切って
completely (副)完全に,完璧(かんぺき)に; まったく,徹底的に
Catalonia (名)カタロニア 《スペイン北東部の地方》
keen (形)〈目・感覚など〉鋭い,鋭敏な
curiosity (名)好奇心

Part2

ガウディはサグラダ・ファミリアのほかにも、グエル公園、グエル邸、カサ・ミラなど、カタルーニャ州の州都バルセロナの様々な場所に設計しました。

そのオリジナリティ溢れるデザインで、ピカソ、ミロ、ダルなど多くの芸術家に影響を与えました。

強いカトリック信仰を持つガウディは、人生の後半をサグラダ・ファミリアの建設に捧げました。

彼は構造的に完璧で、調和のとれた美しい教会を作りたかったのです。

ガウディの死後もサグラダ・ファミリアの建設は続けられましたが、ガウディの設計や模型は使われなくなりました。

それらは燃やされたり、破壊されたり、スペイン内戦の混乱の中で失われたりしました。

代わりに、ガウディの弟子たちがガウディから聞いた話をもとに設計図を描きました。

教会の建設は、ガウディが思い描いたものを想像しようとする建築家たちによって今日も続けられています。

当初、サグラダ・ファミリアの完成には少なくとも300年はかかると言われていました。

しかし、教会機構は2026年の完成を発表しました。

ガウディの死後100年のことであります。

サグラダ・ファミリアが有名になるにつれ、寄付金や入場料が増えます。

建設者たちは、より多くの資金と高度な技術に助けられながら、建設のペースを上げています。

2018年にはイエス・キリストの塔の建設が始まり、工事は最終段階に入りました。

Park Güell (名)グエル公園
Palau Guell (名)グエル邸
Casa Mila (名)カサ・ミラ
Picasso (名)ピカソ
Miro (名)ミロ
Dali (名)ダリ
Catholic (形)(ローマ)カトリック教会の,旧教の
faith (名)信仰
devote (動)〈人が〉〔…に〕一身をささげる,専心する; 〔…を〕熱愛する
latter (形)後のほうの,終わりの,末の,後半の
structurally (副)構造的に,構造上; 構造に関して
harmonious (形)調和した
chaos (名)無秩序,大混乱
pupil (名)(個人指導を受けている画家・音楽家などの)弟子
pace (名)速度,ペース,テンポ
Jesus Christ (名)イエスキリスト

Part3

1984年から2005年にかけて、ガウディの作品のうち7つがユネスコの世界遺産に登録されました。

そのうちのひとつが、サグラダ・ファミリアの「キリスト降誕のファサード」です。

日本人彫刻家、外尾悦郎による15人の天使の彫刻によって2000年に完成しました。

彼は現在、イエス・キリストの塔の内部デザインを担当しています。

外尾は1953年福岡生まれです。

大学で彫刻を専攻し、卒業後は非常勤の美術教師となりました。

25歳のある日、突然、理由もなく石を彫りたくなりました。

その衝動に駆られ、日本を飛び出し、石工文化の盛んなヨーロッパを目指しました。

まずパリを訪れたが、そこでは満足感を得られませんでした。

別の目的地を探し、たまたま乗った列車がバルセロナで、そうでなければサグラダ・ファミリアを見ることはなかったでしょう。

当時、そこは旅行者に人気の場所ではありませんでした。

そこに積まれたたくさんの石を見た瞬間、彼はまた石を彫りたくなりました。

ガウディの弟子の一人である建築長に、彫らせてほしいと何度も頼みました。

そしてついに、試験を受けることを許され、専属の彫刻家として認められることになりました。

UNESCO (名)国連教育科学文化機関
Nativity Facade (名)キリスト降誕のファサード
sculpture (名)彫刻(物), 彫像
sculptor (名)彫刻家
internal (形)内(部)の
part-time (形)パートタイムの,非常勤の
graduation (名) 《主に米国で用いられる》 卒業式 (cf. commencement 2b); 《主に英国で用いられる》 大学の卒業式
impulse (名)(心の)衝動,一時の感情,はずみ,でき心
carve (動)〈文字・像などを〉〔木・石などに〕刻む,彫刻する
stonework (名)石造物; 石細工
satisfied (形)満足した,満ち足りた
destination (名)目的地,行き先,到着地[港]
otherwise (副) さもなければ

Part4

外尾はサグラダ・ファミリアに40年以上携わっています。

彼がそこで彫刻する時、なぜガウディはサグラダ・ファミリアをあのように造ったのか、何のために造ったのか考えています。

「ガウディは私たちを幸せにするものを造りたかったのです。」と外尾は言います。

「ガウディは若い頃、自然に囲まれて幸せでした。

だから、自然は私たちを幸せにできると信じていました。

彼は自然を神からのメッセージだと考えていました。

彼はまた、最も美しい形は自然の中にあると信じていました。」

実際、サグラダ・ファミリアの内部は森のように見え、柱は枝分かれする木々のように傾斜しています。

「ガウディはサグラダ・ファミリアを作り、その仕事を通して偉大な建築家になりました。

私は若い頃から石を彫りたいと思っていました。

石を彫ることを通して、自分自身を探してきたように思います。

今となっては、石を彫ることが私という人間を作り上げたと言えるでしょう。」と付け足します。

ガウディが亡くなる前に職人たちに言った最後の言葉は、「明日はもっといいものを作ろう、みんな」でした。

ガウディの遺言を胸に、外尾はバルセロナの仲間たちと石を彫り続けています。

interior (形)内の,内部の; 内側の
column (名) 柱,円柱
incline (動)〈ものを〉傾ける,傾斜させる
colleague (名)(主に官職・教授・公務など職業上での)同僚